国は、保険対象の治療と対象外の治療を組み合わせる「混合診療」の場合、原則としてすべて保険対象外と取り扱っています。つまり、健康保険が使える診療(保険診療)に上乗せして保険外の診療(自由診療)を受けた場合、保険診療分まで全額患者負担になります。
今回、東京地裁で、神奈川県内のがん患者が国を相手取り、本来は保険が利く治療分まで給付しないのは違法だとして、国に保険給付を受ける権利の確認を求めた訴訟の判決がありました。定塚誠裁判長は、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止している国の政策について、「混合診療を理由に保険適用せず全額を自己負担としたのは違法」とし、原告に保険診療分の受給権があることを認め、国側敗訴の判決を言い渡しました。こうした運用を違法とする司法判断が出たことで、厚生労働省は混合診療への対応の見直しを迫られそうです。
訴えていたのは神奈川県在住の団体職員の男性(60)で、男性は腎臓がんの治療のため、2001年9月以降、主治医の勧めで、保険対象の「インターフェロン療法」と保険対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用して受けていたそうです。
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