2007年11月26日月曜日

外国人医師、診療解禁を

 全国知事会と舛添要一厚生労働相は、産前産後の周産期医療と医師確保対策について意見交換し、知事側は地方の医師不足対策の一環として、日本の医師免許を持っていない外国人医師の診察も可能にする特区認定といった規制緩和などを要望似たいし、厚生労働省は「免許をとったらやるべきだ」と答えました。
 会合には新潟県、奈良県など八府県の知事が出席。医師のへき地勤務の義務化や、自由に研修先を選べる臨床研修医制度の見直しなどを求めた。厚労相はへき地勤務義務化について「長期的には考えていいかもしれない」と表明。医療のあり方を広範に議論する検討会を近く設置する考えも示しました。
 周産期医療の問題では知事側が新生児集中治療室の整備や妊婦の健康診査への財政支援などを要請。厚生労働省は対策費として「2008年度予算をしっかり確保したい」と強調しました。

2007年11月19日月曜日

インフルエンザ患者数、例年より1か月速いペース

 国内のインフルエンザの患者数が、例年よりも約1か月早いペースで増え始めています。Aソ連型が多いのが特徴で、高齢者はワクチンを受けるなど、流行する前に早めの対策が必要です。国立感染症研究所が16日に発表した全国約5,000か所の定点医療機関の集計によれば、先月29日~今月4日の報告患者数は1,217人。1医療機関あたりの報告数は0.26で、昨年同時期の0.10に比べ大幅に増えています。北海道、東京都、神奈川県、沖縄県の報告数が多いようです。厚生労働省によれば、先月28日以降、全国でインフルエンザによるとみられる保育園や幼稚園、小中学校での休校(園)が4施設、学年閉鎖が16施設、学級閉鎖が58施設あったそうです。

2007年11月15日木曜日

開業医の初・再診料下げ=診療報酬見直しで一致-諮問会議

 政府の経済財政諮問会議は、社会保障費の増加を抑制するため、医療機関に支払う診療報酬の見直しを審議しました。開業医の初・再診料の引き下げや、人手不足が指摘される産科・小児救急を持つ病院には診療報酬を拡充するなどメリハリのある対応を通じ、医療の質の維持と医療費の削減に取り組むことで一致しました。福田康夫首相は「国民の安心のため、必要なところは充実、効率化できるところは大胆に削る明確な姿勢でリーダーシップを発揮してほしい」と舛添要一厚生労働相に指示したとのことです。 

2007年11月13日火曜日

医療法人の特養設置認める方針撤回

  厚生労働省は、特別養護老人ホーム(特養)の設立を医療法人にも認める方針を撤回することを決めました。慢性疾患を抱えるお年寄りが長期入院する療養病床の削減に伴い、医療法人による特養設置を受け皿のひとつと考えていましたが、社会福祉法人などの関係団体の反対が強く、断念することになりました。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で撤回方針が示されました。こうした措置を盛り込んだ老人福祉法改正案の来年の通常国会への提出も見送ります。
 現在、特養を設置できるのは、自治体や社会福祉法人などに限定されていますが、厚労省は今年6月、医療法人による設置解禁を打ち出しました。厚生労働省は2012年度末までに、36万床ある療養病床を15万床超にまで削減し、介護施設に転換する計画を進めており、医療法人の特養を転換先のひとつと位置づけていました。ところが、社会福祉法人などが「社会福祉事業の根幹にかかわり、十分な協議なしに決定するのは問題」と反発していました。
 厚生労働省は医療法人が社会福祉法人を設立して特養を運営する現行で認められている手続きを迅速化し、対応したいとしています。

公立病院改革、目標未達成なら病床削減・総務省懇談会が指針案

 総務省の公立病院改革懇談会(座長、長隆・公認会計士)は、赤字が多い公立病院の改革に向けた指針案をまとめました。数値目標を掲げ、例えば病床利用率が3年連続して70%未満の病院には、病床数の削減や診療所への転換など効率化を求めることになります。基幹病院への機能集約など近隣病院の再編も促します。総務省は交付税などで支援していく考えです。
 公立病院は約970ありますが、2006年度は7割以上の721病院が赤字です。赤字額は2,229億円で、経営改善が課題となっている。総務省は年内に指針を決定し、自治体に正式に通知する見込み。再編を促すための財政措置策も盛り込む。
 指針案では、自治体が経営効率化については3年間、再編は5年間をメドにした改革プランを作成。病床利用率、職員給与費比率、経常収支比率の3種類の数値目標を必ず設定するほか、百床あたりの職員数など自治体が必要だと判断した目標を定めます。

2007年11月12日月曜日

医療定額制度、中堅病院も・厚生労働省方針

 厚生労働省は病気ごとに標準的な医療費を定める「定額払い方式」の普及を加速するため、2008年度から対象病院を拡大する方針を固めました。大学病院など の大病院を中心に導入を認めてきましたが、一般の中堅病院も対象とする考えです。定額制の病院に前年度並みの収入を保証する制度は2009年度末で廃止し、医療費の 抑制を図るようです。
 診療報酬は医療行為を積み上げて算定する「出来高払い方式」が基本で、必要性の低い検査や投薬などで報酬をかさ上げする過剰診療が起きやすいことが以前からしてきされていました。これに歯 止めをかけるのが「定額払い方式」の狙いで、患者負担も軽くなります。病院にとっても本当に必要な医療行為だけを行って効率化を進めれば、コストが減って利益が大 きくなるとの見込みです。

2007年11月7日水曜日

混合診療の保険不給付は違法、東京地裁判決

 国は、保険対象の治療と対象外の治療を組み合わせる「混合診療」の場合、原則としてすべて保険対象外と取り扱っています。つまり、健康保険が使える診療(保険診療)に上乗せして保険外の診療(自由診療)を受けた場合、保険診療分まで全額患者負担になります。
 今回、東京地裁で、神奈川県内のがん患者が国を相手取り、本来は保険が利く治療分まで給付しないのは違法だとして、国に保険給付を受ける権利の確認を求めた訴訟の判決がありました。定塚誠裁判長は、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止している国の政策について、「混合診療を理由に保険適用せず全額を自己負担としたのは違法」とし、原告に保険診療分の受給権があることを認め、国側敗訴の判決を言い渡しました。こうした運用を違法とする司法判断が出たことで、厚生労働省は混合診療への対応の見直しを迫られそうです。
 訴えていたのは神奈川県在住の団体職員の男性(60)で、男性は腎臓がんの治療のため、2001年9月以降、主治医の勧めで、保険対象の「インターフェロン療法」と保険対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用して受けていたそうです。

2007年11月6日火曜日

診療報酬改定、攻防本格化・財制審、下げ提言へ

 高齢化で膨らむ医療費をめぐり、来年度の診療報酬改定に向けた攻防が本格化してきました。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は11月5日の部会で、歳出改革を進める観点から「診療報酬の引き下げが必要」との認識で一致。月内にまとめる予算編成の建議に盛り込む方針を固めました。だが、与党内には報酬引き上げ論も根強く、調整は難航が必至の情勢。政局の流動化とも絡み、予算編成での大きな焦点になりそうです。
 診療報酬はここ最近は2年に一度改定しており、来年度は改正年にあたります。医師の技術料である本体部分と薬価などの総枠の増減は年内に政府決定するため、攻防は予算編成作業と並行して進むようです。(日経新聞記事から)

2007年11月4日日曜日

開業医の診察料分減額 夜間は増やす

 厚生労働省は、開業医の診療報酬について、夜間診察を手厚くする一方で、その財源捻出(ねんしゅつ)のために初診・再診料を引き下げる方向で検討に入りました。夜間の救急医療で開業医が一定の役割を担うよう促すことで、病院勤務医が診る救急患者数を減らし、負担軽減するのが狙いのようですが、日本医師会は反発しており、調整は難航しそうです。
 2008年度の診療報酬改定について議論する中央社会保険医療協議会(中医協)に提案した。病院の勤務医の過酷な労働条件が、医師の病院離れや地方病院での医師不足の原因との指摘があり、2008年度改定でも勤務医の負担軽減は主要な課題の一つです。
 厚生労働省の調べでは、午後6時以降に開業している診療所が多い地域では、救急医療で病院が受け入れる患者の数が比較的少ないため、夜間開業の報酬を手厚くすることで夜間対応の診療所の数が増えれば、その分、病院の勤務医の負担も軽減されると厚生労働省はみているようです。ただ、社会保障費の抑制傾向の中で新たな財源確保は難しいことから、開業医の初診・再診料を引き下げることで、財源に充てるとしました。来年4月にスタートする75歳以上の後期高齢者向け医療では、再診料を引き下げ、その分を、患者を総合的、継続的に診る「主治医」への報酬などに充てる考えを示しました。