大阪府岸和田市が、生活保護を受けていた男性に、東京や福岡などの病院へ通う航空機や新幹線の運賃計約439万円を「通院交通費」として支給していたことがわかりました。市は「適正な支給だった」としていますが、生活保護の医療扶助として認められている通院交通費の支給をめぐっては、北海道で多額詐欺事件が明らかになり、厚生労働省が実態調査を進めています。
市によると、受給男性は40代で精神疾患があり、「良い医師を探したい」として、2006年8月に東京の病院へ航空機で行き、市は往復分約4万円を支給。その後も妻と一緒に航空機や新幹線で福岡市の病院へ計7回通った際の運賃約70万円など、2007年3月の生活保護終了まで計210回にわたって通院交通費を認めました。
通院交通費は「必要最小限」を条件に全額支給され、上限はありません。市は男性が最初に東京へ通院したいと申し出た際は、交通費が高額になるため府社会援護課に相談したうえで「適正」と決定し、その後の通院先の変更は、男性の主治医の意見を聴いて認めていたということだそうです。
厚労省は1月下旬、直近1カ月間で3万円を超す交通費について全国の自治体に実態調査を求めました。府社会援護課によれば、大阪市や堺市など政令指定・中核市の4市を除く府内では、10万円を超すような不自然な支給はなかったということだそうです。